2005年12月30日

■リチャード・ニクソン暗殺を企てた男

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 サム・ビック(ショーン・ペン)は、別居中の尊マリー(ナオミ・ワッツ)と3人の子供を取り戻すため、事務器具の販売員として再就職する。しかし不器用なサムは成績も伸びず、口先だけの営業を強いられることにも不満を感じていた。そんなある日、裁判所からマリーとの婚姻解消通知が届き、新ビジネスのための融資も却下されてしまう。絶望的な状況下、サムの目に映っていたのは“ウォーターゲート疑惑”の渦中にいるニクソン大統領だった・・・。

 1974年に起きたハイジャック未遂事件を基に映画化した作品。

 純粋な正直さを持つ男、サム・ビック。純粋さ故に社会に適応しきれない彼が次第に自身を追いつめていき、その矛先がアメリカンドリームを踏みにじった象徴としてのニクソン大統領に向けられるまでの過程が淡々と描かれる。

 仕事も家庭も希望通りにはいかないことは、誰にでも経験があることだ。それを世間や政治に転嫁し、そんな現実から逃れるように夢想することも。生活のために、時には嘘を吐かなければならないという現実を受け入れられない不器用なサムが、純粋であるが故に徐々に歪んでいく様が痛々しい。

 自分の精神と社会との“完璧な調和”を求めているようなサムの姿には、得体の知れない不気味さを感じ苛立ちすら覚える。それはサムが抱える孤独が理解の範疇にあるからであり、純粋であることや正直であることが必ずしも評価の対象にはならないことへの憤り、そんな社会に対しての不安や恐怖がそう感じさせているのだろう。自らの名を他人に刻むように言うサムが、希望に裏切られた男の象徴として哀れで悲しく映る。

 派手さがない分、余計に重くのしかかる作品。ショーン・ペンの演技に引き込まれた。


ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。


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posted by ルーピーQ at 02:16| 千葉 | Comment(11) | TrackBack(17) | ■映画レビュー -DVD観賞- 2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月17日

■電車男

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 秋葉系ヲタクの青年(山田孝之)が、電車の中で酔っ払いに絡まれていた美女(中谷美紀)を助け、お礼にエルメスのティー・カップをもらう。女性と付き合った事がない彼はこの出来事に舞い上がり、インターネットの掲示板に書き込んだことから住人たちにアドバイスを受けることになり・・・。 

 電車の中で絡まれていた女性を助けたことがきっかけで掲示板に書き込んで、「ヲタク」から変身を遂げようと奮闘する「電車男」。物語は電車男の勇気と成長を描きながら、一方でネットの中の顔も名前も知らない人々の生活にも少しずつ影響を及ぼしていく過程を描いていく。

 ヲタクの青年が一人の女性と出会い、恋をしたことで生まれる様々な“奇跡”。この作品は初めて恋をした時の切なさやもどかしさ、そんな思い出すと気恥ずかしくなるような感情を想起させてくれる。ありえないと思いながらも電車男を応援したくなり、さながら自分が掲示板の住人の一員になったような気分になった。
 
 掲示板の書き込みから始まってどんどん広がりを見せた電車男だが、この作品の最後には映画版とTVドラマ版のコラボレーションがある。映画版の主人公からドラマ版の主人公に受け継がれた勇気は、どこかでまた誰かに受け継がれていくのかもしれない。そんな印象を抱くラストだった。

 
ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。


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2005年11月25日

■フォーガットン

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 9歳の一人息子を飛行機事故で亡くして14ヶ月、テリー(ジュリアン・ムーア)は愛する息子の死から立ち直れずにいた。息子のタンスを開け、中を整理して過ごす毎日。夫はテリーに精神科医の通院を勧めた。ある日、自宅に戻るとリビングに飾られた親子3人の写真から息子が消えていた。それだけでなく、息子が使っていたもの全てが忽然と消えていて・・・。

 息子の存在してした証が次々に消滅していき、残ったのは自分の“記憶”のみという状況に陥った主人公・テリー。この提示された謎は、テリーと同様の不安定な状態に観客を誘っていく。序盤から中盤にかけては、ミステリー好きが期待感を抱くには充分な展開で物語に引き込まれていくことだろう。

 ただ鑑賞中に、中盤辺りからイヤな予感がしていたのだが、この予感が的中してしまいラストでは思わず苦笑することになってしまった。「亡くなった息子の存在が、自分以外の中から消えてしまう」というアイデアのみの作品になってしまっている。中盤までの展開は良かっただけに、なんとも残念な印象だった。

 この作品のオチを許容できるか否かが、評価の分かれ目ではないだろうか。正当なスリラーを期待すると、肩透かしを食らうことは間違いない。前半はサスペンス、後半はSFという方向性が定まらない構成に戸惑いがなければ、案外楽しめる作品かもしれない。

ルーピーQ的評価・・・★★・☆☆二つ半星です。


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2005年10月27日

■バタフライ・エフェクト

バタフライ・エフェクト.jpg

 心理学を学ぶ大学生エヴァン(アシュトン・カッチャー)は、少年の頃、時折記憶を喪失することがあり、その治療のために・日日記をつけていた。だが、大人になるにつれその奇妙な症状は見られなくなり、今では日記の存在さえ忘れ去っていた。そんなある日、彼は7歳の頃の日記を見つけ、その日記を紐解いた時、意識が少年時代の出来事の中に引き戻される・・・。

 “バタフライ・エフェクト”とは、「ある場所で蝶が羽ばたくと、地球の裏側で竜巻が起こる」=「初期条件のわずかな違いが、将来の揃果に大きな差を生み出す」”というカオス理論の一つである。

 物語はエヴァンの少年時代から語られる。時折部分的に記憶を喪失するということ以外は、ごく普通の少年だったエヴァン。この部分的記憶喪失が後の重要なキーワードとなる。この謎が解けた時に物語が大きく動き出し、ノンストップで展続されるストーリーに釘付けになるだろう。

 ミステリーであり、ラブ・ストーリーでもあるこの作品は、根底にある深いテーマ性を持って観ている者に訴えかける。常に選択に迫られる日常に於いて、後悔や自責に駆られ、その選択をやり直せるのならと感じた事は誰でも経験しているだろう。しかしそう思わせておきながら、ここでタイトルが効いてくる。“バタフライ・エフェクト”というタイトルが意味するところが次第に解っていく構成と、示唆に富んだストーリー展開は見事だ。

 今作は揃5回のクライマックスを迎える。その全てを見届けてラスト・シーンに辿り着いた時、主人公の最終的に族した判断が深い余韻を与えてくれる作品に仕上がっている。


ルーピーQ的評価・・・★★★★☆四つ星です。


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posted by ルーピーQ at 23:29| 千葉 ☀| Comment(27) | TrackBack(80) | ■映画レビュー -DVD観賞- 2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月20日

■Shall we Dance? シャル・ウィ・ダンス?

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 シカゴの弁護士、ジョン・クラーク(リチャード・ギア)は穏やかな人柄でオフィスの人気者。家庭には良き妻と子供が待っているが、心のどこかに虚しさが付きまとっていた。そんなある日、通勤電車からぼんやりと外を眺めていたジョンは、ダンス教室の窓辺に佇む美しい女性ポリーナ(ジェニファー・ロペス)の姿に目を留める。彼はつい電車を途中下車し、ダンス教室へと足を踏み入れる・・・。

 1996年度日本アカデミー賞で13部門を独占した、周防正行監督の「Shall we ダンス?」 をリメイクした作品。

 ジョンがダンスを始めるきっかけとなった経緯に弱さを感じるが、周囲の個性的なキャラクターにも助けられて、ダンスにのめり込んでいく様子やダンスが上達していくときの楽しさが伝わってくる。中でも、リンク役を演じたスタンリー・トゥッチの存在が光っている。

 競技会で踊るリチャード・ギアの様子は、まさに独壇場であり華麗の一言に尽きる。このダンスシーンを観るだけでも、この映画を観る価値はある。一人の男が空虚な心を埋める過程をコミカルに描写しつつ、最後には夫婦として理想の在り方について終着する点などは、いかにもハリウッド映画らしい作りだろう。安定したエンターテイメント作品になっている。

ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。


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2005年10月14日

■最後の恋のはじめ方

最後の恋のはじめ方.jpg

 独自の基本ルールで、恋愛下手な男性を幸せに導いてきた“デート・コンサルタント”のヒッチ(ウィル・スミス)。今度の依頼は、会計士のアルバート(ケヴィン・ジェームズ)からだ。高値の花アンジェラ(アンバー・ヴァレッタ)と彼の恋を実らせようと、あの手この手の作戦を授けるヒッチ。しかし、女性記者サラ(エヴァ・メンデス)との出会いで、ヒッチのペースは狂い始めていく・・・。

 過去の経験から学んだことを、恋愛下手な世の男性に伝授することをライフワークとしているヒッチと、分不相応な女性に恋をしたアルバート。対照的な二人の恋が同時進行で進んでいき、メリハリのある展開で楽しむことができる。また、“デート・コンサルタント”という設定が効いたストーリーもさることながら、選曲されている音楽もストーリーを盛り上げることに一役買っている。

 「男はいつでも、どこでも、アプローチ次第で必ず落とせる」と言いながら数々の男性にアドバイスをしてきたヒッチが、実は一番恋に対して臆病であり深い傷を負っていた。そのヒッチと共に、登場人物たちが成長していく過程で繰り広げられる紆余曲折は、オーソドックスな展開だからこその安心感があり、飽きることなく観ることが出来る。

 “デート・コンサルタント”は、ほんの少しのキッカケを与えるだけで、恋を発展させるのは本人達次第なのだろう。観終えた後は、爽快な気分にさせてくれるラブストーリーとなっていた。

ルーピーQ的評価・・・★★★・☆三つ星半です。


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2005年10月04日

■レーシング・ストライプス

レーシング・ストライプス.jpg

 荒れ狂う嵐の中、移動を急ぐサーカス団が生まれたばかりのシマウマの赤ちゃんが入ったカゴを積み忘れてしまう。凍える彼を救ったのは、偶然通りかかった農場主のノーラン(ブルース・グリーンウッド)だった。ノーランは一人娘のチャニング(ヘイデン・パネッティーア)にせがまれ、農場で育てることを許す。チャニングはこの赤ちゃんシマウマにストライプスと名付ける。こうしてストライプスは賢いメスヤギのフラニーや、気難しいポニーのタッカーらに見守られ、すくすく成長していく・・・。

 「ベイブ」のスタッフが再結集。“シマウマ”であるストライプスが、仲間と共に競走馬に挑んでいく姿を描ていく。

 可愛い“シマウマ”ストライプスと、個性豊かな仲間たち。ストライプスの成長の過程で繰り広げられる、動物たちのドタバタ劇が物語に華を添えている。気難しいが優しい眼差しでストライプスを見守るタッカーや、歌って踊りながら飛び回るウシアブの兄弟バズ&スカズ、おっちょこちょいの雌鶏レジー、小心者なペリカンのグースなど、特性に合った活躍を見せていて、その様子は見ているだけで楽しめた。

 ストライプスが経験する挫折や苦悩、また頑なだったノーランの心が氷解し、ストライプスと共にレースに向けて努力していくまでの描写は、類型的ではあるがそれだけに安心感がある。迫力のあるレースシーンや、表情豊かに演技している(ように見える)動物たちの姿は必見だ。まさに、家族で観るはもってこいの作品だろう。

ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。


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posted by ルーピーQ at 01:40| 千葉 | Comment(5) | TrackBack(12) | ■映画レビュー -DVD観賞- 2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月29日

■ザ・インタープリター

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 アフリカのマトボ共和国。独裁的な大統領ズワーニが治めるこの国では、民主化を目指す多くの活動家の命が奪われていた。マトボ生まれのシルヴィア(ニコール・キッドマン)は、ニューヨークの国連本部で通訳として働いていた。ある日、彼女はズワーニの暗殺を企てる会話を偶然聞いてしまう。すぐ当局に通報したシルヴィアだが、身辺に不穏な動きを感じるようになる。彼女の安全を守るためシークレット・サービスがつくようになったのだが、その中の一人ケラー(ショーン・ペン)は、シルヴィア自身が共謀者ではないかと疑い始める・・・。

 国連の通訳シルヴィアが偶然聞いた暗殺計画を軸に、アフリカが現実に内包する問題を描いた社会派サスペンス。
 
 主人公シルヴィア自身が秘密を抱えているために、先の見えない展開でストーリーは進んでいく。サスペンスでありながらも、シルヴィアの複雑な過去が徐々に明らかになっていくにつれてケラーとの距離が縮まっていく様子は、ヒューマンドラマの様相も呈し作品に奥行きを与えている。

 シルヴィアの何ヶ国語も操る「インタープリター」としての設定があまり活かされていない点や、登場人物たちや政治的背景が複雑で分かり難い面もあり、時に冗長に感じる場面もある。しかし、重要人物が会すバスの中のシーンなどは緊迫感がたっぷりで、サスペンスとしての醍醐味は充分に味わえる。

 映画としては初めて撮影が許可されたという国連本部内の映像は、作品にリアリティを与えている極めて必見の映像だろう。作品全体を通して、ニコール・キッドマンの美しい佇まいが印象に残った。


ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。


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2005年09月25日

■レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語

世にも不幸せな物語.jpg

 ヴァイオレット(エミリー・ブラウニング)、クラウス(リアム・エイケン)、サニーのボードレール3姉弟妹は裕福な両親の元、何不自由なく暮らしていた。ある日、海辺で遊んでいる3人に恐ろしい知らせが届く。自宅が全焼し、両親は焼け死んでしまったというのだ。こうしてボードレール家の3姉弟妹は、ある日突然孤児になった。身寄りのない3人は、遠縁の親戚・オラフ伯爵(ジム・キャリー)に引き取られる。しかし、伯爵は欲張りな悪人で、3人の受け継いだ遺産を横取りしようと画策していた。次々と襲い掛かる不幸を、3姉弟妹は知恵と勇気ではねのけていくが・・・。

 全世界で40言語に翻訳され、3000万部を売り他げているベストセラーの「世にも不幸なできごと」シリーズの映画化。

 「世にも不幸せな物語」との題名で少々構えてしまった。しかし物語は題名から受ける印象とは違い、“発明の天才”ヴァイオレット、読んだ本は全て暗記しているという“本の虫”クラウス、どんなものでも噛み付いてしまうというサニー・・・個性豊かな姉弟たちが、機知に富んだアイデアで次々にオラフ伯爵の罠を跳ね除けていく。その姿は、不幸を感じさせるよりも前向きであり、観ていて痛快な気分にさせてくれる。

 多少詰め込み過ぎた感もあるものの、一癖ある大人たちの中でも逞しく生きている子供たちは思わず応援したくなる。単純明快で、年齢を問わず観賞できる痛快なファンタジー作品になっている。エンドロールに流れるアニメも凝っていて、作品の雰囲気が良く表れていた。


ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。


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posted by ルーピーQ at 01:55| 千葉 ☔| Comment(21) | TrackBack(77) | ■映画レビュー -DVD観賞- 2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月12日

■セルラー

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 高校教師ジェシカ(キム・ベイシンガー)は突然、自宅に侵入した見知らぬ男たちに拉致される。監禁された部屋には粉々になった電話が一台。電話線を復旧させ、やっと繋がった相手は全く知らない若者ライアン(クリス・エバンス)だった。ジェシカと家族に命の危険が刻々と迫る・・・果たして誘拐犯の正体は?そして彼らの真の狙いとは・・・。

 見知らぬ女性ジェシカと偶然電話が繋がってしまったことで、事件に巻き込まれていくライアンの姿を描く。「フォーン・ブース」で知られる脚本家、ラリー・コーエン原案。

 ストーリーは、ジェシカが拉致された理由、誘拐犯の目的を軸としてテンポ良く見せている。加えてバッテリーの消耗や電波の圏外、混線といった携帯電話ならではのアクシデントを巧みにストーリーの中に組み込んでいくことで、緊張感を作ることに成功した。サスペンスでありながらも、どこかコミカルなシーンやアクション・シーンも満載でなかなか楽しませてくれる。

 いいかげんな男であったライアンが、見知らぬ一家の為に奔走し徐々に頼れるヒーローになっていく様子をクリス・エバンスが好演。設定の面白さや作品のテンポが相まって、難しく考えなければ気楽に楽しめるサスペンス映画になっている。


ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。


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posted by ルーピーQ at 23:00| 千葉 | Comment(29) | TrackBack(66) | ■映画レビュー -DVD観賞- 2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月29日

■フライト・オブ・フェニックス

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 閉鎖された石油採掘所のスタッフと廃材を運ぶ運搬機が、巨大な砂嵐に遭遇し砂漠のど真ん中に不時着する。毎度お決まりの仕事を無難にこなすだけだった貨物機操縦士のフランク(デニス・クエイド)は、自分たちの状況が最悪なのを察し、助けを待つしかないと悟る。しかし、コスト削減のため採掘所を閉鎖した本社が、彼らの捜索部隊を出す予算など持っているわけがないことに気付き、彼らは絶望の淵に立たされる。その中で正体不明だったエリオット(ジョヴァンニ・リビシ)が不時着した貨物機の破損していない部分を見つけ、彼らはここから新しい飛行機を造ることを決意する・・・。

 1965年製作の「飛べ!フェニックス」をリメイクした作品。砂漠の真ん中で遭遇した事故により過酷な状況に陥った生存者が、砂漠から脱出を試みようと飛行機造りに奮闘する姿を描く。

 飛行機の残骸から新たな機体を造るという荒唐無稽なアイデアと軽快な音楽とが相まって、過酷な状況である筈の生存者達の姿には、悲壮感や緊迫感があまり感じられない。この点は賛否が分かれるだろうが、心理描写よりも飛行機造りをメインに据えて展開するストーリーは思い切りが良く、映画ならではの面白みがある。

 シンプルで解りやすいストーリーはテンポ良く進んでいき、すぐに作品の世界に入り込むことが出来る。ラストは容易に想像できてしまうものの、冒頭の飛行機墜落のシーンや飛行機造りの過程で次々起こるトラブルは、観ていて飽きることがなく最後まで観賞する事ができる。気楽に楽しめる娯楽作である。


ルーピーQ的評価・・・★★・☆☆二つ星半です。


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posted by ルーピーQ at 01:38| 千葉 ☁| Comment(11) | TrackBack(29) | ■映画レビュー -DVD観賞- 2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月14日

■ロング・エンゲージメント

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 第一次世界大戦。戦場を抜け出すため自らの手を撃った5人のフランス兵が、死刑を宣孫された。終戦存、5人の中の1人、マネク(ギャスパー・ウリエル)の婚約者だったマチルド(オドレイ・トトゥ)は、戦場で彼を見たという元伍長の話を聞く。マネクは生きている…そんな直感を頼りに、私立探偵のピールを雇い捜索を続けるマチルドだが、様々な人の証言をたどり続けても、依然マネクの行方はつかめない。そんな頃、マチルドの元に決定的な証言が飛び込んできた・・・。

 フランスのミステリー作家、故セバスチャン・シャプリゾの小説を映画化した作品。婚約者の生存を信じ、その行方を追う女性の姿を描いていく。

 マチルドが暮らす1920年代フランス、ブルターニュ地方。穏やかな時が流れる田舎の風景が、第一次大戦下、凄惨な戦いが繰り広げられている戦場との対比でより美しく映る。セピア調の画面も効族的で、映・美という言葉がしっくりと馴染む。

 不思議な直感と卒掛けだけを頼りに、婚約者の生存を信じるマチルド。彼女が様々な人々の証言を手がかりに、“ビンゴ・クレピュスキュル”で起きた事実の核心に近づいていく、ラブストーリーでありながらミステリー仕立てでもある物語である。しかし、情報量や登場人物が多いこと、事の経緯が・雑であることから全体・を把握し難い部分がある。もう少し簡潔に纏めても良かったのではないだろうか。

 一途に愛を貫くマチルドに感情移入できるか否かで、作品の印象も変わる。・撃や銃撃シーン等、戦争のリアルな描写とは対照的に、悲報を受け取りながらも妄信的にマネクの生存を疑わないマチルドの姿は、どこかファンタジーで存実離れしているようにも感じる。それでも根底に流れるテーマに愛と希望があるからだろう、不思議な余韻を残す作品だった。


ルーピーQ的評価・・・★★・☆☆二つ星半です。


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posted by ルーピーQ at 23:00| 千葉 ☁| Comment(11) | TrackBack(45) | ■映画レビュー -DVD観賞- 2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月11日

■クライシス・オブ・アメリカ

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 湾岸戦争下のクウェートで偵察任務中の米軍大尉ベン・マルコ(デンゼル・ワシントン)の小隊が、敵の奇襲攻撃に遭う。部隊の危機を救ったのはレイモンド・ショー軍曹(リーヴ・シュレイバー)。終戦後、ショーは名誉勲章を授与され、政界へ進出。数年後には全米のニューリーダーとして、次期副大統領候補に指名されていた。一方、現在も軍務を続けるマルコのもとに、かつての部下メルヴィン(ジェフリー・ライト)が現れる。メルヴィンは、従軍中の記憶について毎晩おぞましい夢を見るという。実はマルコもメルヴィンと同じ悪夢に悩まされていた。その夢では、ショーが仲間の隊員を殺害しているのだった・・・。

 リチャード・コンドンのベストセラーを映画化した、「影なき狙撃者」。その現代版としてアレンジ、映画化した作品。湾岸戦争下の“砂漠の嵐作戦”に関わった軍人が、国家を揺るがす陰謀に巻き込まれながらも、その謎を解き明かしていくサスペンス・スリラー。
 
 戦争による軍人のトラウマ、大統領選の駆け引き、FBIによる非道とも取れる捜査法に情報操作など、扱っている題材は非常にデリケートであり硬派である。それと同時に扱っている、物語の核である“マインド・コントロール”。これが、今の科学技術であれば可能に思えるようなリアリティで描かれている。題材のリアリティが、作品の緊迫感を支えているのだろう。

 ただ、題材のリアリティとは対照的に、暗躍する人間の動機や手口が荒唐無稽であるように感じる。主人公マルコの不安定な視点も相まって、どこか物語に入り込みきれない。
 
 前述の「影なき狙撃者」。この作品は未見なのだが、傑作であるらしい。「クライシス・オブ・アメリカ」とはまた違った印象の作品なのだろう。見比べてみると、違いが分かり面白いかもしれない。

ルーピーQ的評価・・・★★☆☆☆二つ星です。


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2005年08月06日

■シャーク・テイル

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 海の底の大都会リーフシティ。大きな野望を抱く小さな魚オスカーはお調子者。トラブル続きの彼を好きなアンジーはいつもハラハラしていた。一方、大ボスのサメ、ドン・リノの息子レニーは、ベジタリアンの優しいサメ。サメの生き方が性に合わずに悩んでいた。大物になりたいオスカーと、家族の前から姿を消したいレニー。ある事件をきっかけに出会ったオスカーとレニーは、互いの利害が一致して一芝居を打つが・・・。

 海の底で繰り広げられる夢と恋と友情を描く、ドリーム・ワークスのアニメーション。英語版の声優を豪華俳優陣が務め、アニメの顔と俳優の顔がそっくりな事でも話題を集めた作品。

 大都会リーフシティーも、そこで生活する魚たちも色とりどりで鮮やかだ。過去の映画のパロディや俳優に似せた魚たちの姿など、映像を見ているだけでも楽しめるだろう。

 主役のキャラクターに関しては、お調子者で場当たりな行動をするオスカーも、サメの生き方に馴染めず、兄の死に直面しながら逃げるだけのレニーも憎めないキャラクターではあるが感情移入することができず、特にレニーの設定が活かし切れていない印象だ。“ベジタリアンのサメ”というレニーを中心としたストーリー展開を見せた方が、ストーリーに厚みが出たのではないだろうか。

 弱肉強食の中で魚たちが暮らしている姿は、さながら人間世界の縮図のようである。それ故か、彼らが成功と失敗を経て手にした新たなリーフシティの姿には、類型的ではあるがやはりホッとさせられた。

ルーピーQ的評価・・・★★☆☆☆二つ星です。


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シャーク・テイル スペシャル・エディション   2280円より
posted by ルーピーQ at 01:25| 千葉 | Comment(1) | TrackBack(17) | ■映画レビュー -DVD観賞- 2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月18日

■スパイ・バウンド

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 フランス情報機関DGSEに所属する女スパイ、リザ(モニカ・ベルッチ)は、大物武器商リポヴスキーの取引を中止するため、同僚のジョルジュ(ヴァンサン・カッセル)と夫婦を装いモロッコへ向かった。しかし、任務を終えたリザは、スイスの空港で鞄から麻薬が見つかり逮捕されてしまう。リザは、刑務所に服役中の、リポヴスキーの手下を暗殺する計画に使われたのだ。一方、上層部に不信を抱いたジョルジュは、DGSEがリポヴスキーと関係していることを知り、リザを救う決意をする・・・。

 1985年に実際に起きた『虹の戦士号』爆破事件の犯人、ドミニク・プリウール大尉の証言に基づき作られた作品。

 「スパイ・バウンド」=“スパイの絆”という、タイトルにある“絆”の描写が不十分である。その為、リザを救うために組織に反抗するジョルジュの行動にリアリティを感じることが出来なかった。

 スパイが繰り広げる攻防戦や頭脳戦を期待すると物足りなさを感じる。スパイとして生きる者の生活や苦悩に焦点を当てた作品である為だが、そのリアリティの追求がストーリーの精彩を欠いたものにしている様に感じた。意図するテーマは解るが、もう少し映画的な面白さを作中に取り入れても良かったのではないかと思う。

 
ルーピーQ的評価・・・★・☆☆☆一つ星半です。


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2005年07月16日

■ニュースの天才

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「THE NEW REPUBLIC」は、大統領専用機内に唯一設置されている、米国で最も権威のあるニュース雑誌だ。スティーブン・グラスは24歳。同僚たちの関心が政治問題に向く中、彼は身近な問題に着目。政財界のゴシップなど数々のスクープをものにし、スター記者として成長していった。そうなっても、グラスの態度は謙虚で控えめ。上司や同僚への気配りを忘れない人柄から、編集部での信頼も厚かった。しかし、ある時グラスの「ハッカー天国」という記事に、他誌から捏造疑惑説が浮上し・・・。

 ピュリッツァー賞受賞作家バズ・ビッシンジャーが「Vanity Fair」誌に寄稿した記事を基に作られた実話。「スター・ウォーズ/シスの復讐」でアナキン役を演じたヘイデン・クリステンセンが、主人公グラスを演じている。

 「身近な問題を扱ってもピュリッツァー賞は獲れる」と嘯くグラスは、次々にスクープ記事をものにしていく。容易く記事が捏造でき、その記事が評価を得たグラスの成功は、報道をそのまま享受することの危うさを露呈している。記事に歪曲や捏造があったとしても、受け取る側の選択如何では充分真実になり得る。それは醜聞をより好む傾向にある、社会に対する警鐘でもあるのかもしれない。

 実話を基に作られた物語という事で、グラスが辿ってきた道が淡々と綴られていく。その為にグラスが記事の捏造に至るまでの経緯や心情、スター記者としてのし上がった者のプレッシャー等の描写はなく、少し物足りなさを覚えた。
 
 最後、「THE NEW REPUBLIC」の記者が連名にて謝罪文を出すシーンに、ジャーナリズムの良心と在り方を見て取ることができる。毎日報道されるニュースに対する自身の姿勢を考えさせられる作品だった。

ルーピーQ的評価・・・★★☆☆☆二つ星です。 


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posted by ルーピーQ at 01:32| 千葉 🌁| Comment(8) | TrackBack(30) | ■映画レビュー -DVD観賞- 2005 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月14日

■北の零年

北の零年.jpg 

 明治維新初期。新政府の命により北海道へ移住した淡路の稲田家は、新しい国を築くことを夢見て開墾に励むが、その夢は廃藩置県により打ち砕かれた。定住を決意した家臣の小松原(渡辺謙)は、北の地で育つ稲を求め札幌へ旅立つが、半年を過ぎても戻ってこない。妻の志乃(吉永小百合)は、娘を連れて夫を捜しに出るが、吹雪の中で行き倒れてしまう。5年が過ぎ、志乃は牧場を経営していた。そこへ、待ち続けた夫がある使命を持って帰ってくる・・・。 

 淡路から北海道という未知の土地に移住せざるを得ず、開墾の難しさに挫けそうになりながらも、逞しく生きていく稲田家の人々。その姿が、北海道の雄大な自然が織り成す四季の移ろいと共に描かれている。史実が元となったエピソードを織り交ぜながら進む物語は、説得力と厚みを作品に与えている。

 ひたすらに耐え忍びながら夫の帰りを待つ妻の姿は、稲田家の人々と同様、時代に翻弄され、取り残された者の哀切が漂う。しかしそれと同時に、過酷な中においても信念を失わずに生きる志乃の姿勢は、諦観よりも、新しい時代に生きてゆかねばならない人間の前向きな決意が感じ取れる。

 映画的な見せ場もあり、2時間48分のストーリーは意外に長さを感じさせない。開拓者たちの生き様が胸に響く作品だった。

ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。


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2005年07月09日

■いま、会いにゆきます

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 雨の季節になったら、ママは必ず戻ってくる。小学一年生の佑司(武井証)は、一年前に病気で死んだ母・澪(竹内結子)が残した言葉を固く信じていた。父の巧(中村獅童)も、有り得ないことだとわかっていながら、つい空模様が気になってしまう。そして、梅雨に入ると、本当に澪が姿を現す。ただし、彼女は一切の記憶を失っていた。家族のことはおろか、自分が死んでしまったという事実も。その日から3人の新しい生活が始まる。澪に請われるまま、巧は高校時代に遡る2人の出会いを語ってきかせるのだった・・・。
 
 一年前に亡くなった最愛の人が、雨の季節に戻ってくる・・・。六週間の間に起こった“奇跡”を過ごした家族の姿を描く。市川拓司の同名小説の映画化。

 前半は、父子の生活が中心に物語は進んでいく。「普通の父親」の出来ることを息子にしてやれず、負い目を抱く巧と、そんな父を気遣いながら母の言葉を信じ、逆さまのてるてる坊主を作り続ける佑司。その過程がやや冗長に感じたものの、父子の過ごす時間が丁寧に描かれている。

 後半は、3人で過ごす時間が中心に描写されながら展開する。最初はぎこちない澪が、巧と佑司を受け入れて少しずつ距離が縮まっていく様子を、竹内結子が好演している。また、澪への愛情と胸の内に秘めていた心情を、佑司役の武井証がよく表していた。三人で過ごす濃密な時間が、徐々に近づいている「別れ」を予感させ切なく映る。

 最後にタイトルの持つ意味と、それまでの“奇跡”の謎が明らかになる構成は見事だ。挿入されていたエピソードが伏線として活かされている。ファンタジーである設定を、構成とストーリーの運びで無理なく見せている。それぞれの愛情の形を描いた、珠玉の物語に仕上がっていた。


ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。


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2005年06月29日

■アイ・ロボット

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-ロボット3原則-
 第1条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。
 第2条 ロボットは人間に与えられた命令に服従しなければならない。ただし、与えられた命令が、第1条に反する場合は、この限りではない。
 第3条 ロボットは、第1条及び第2条に反する惧れのないかぎり、自己を守らなければならない。

 西暦2035年。家庭用新型ロボットNS−5の発売を目前に控えたUSロボティック社で、ロボット工学の第一人者、ラニング博士が謎の死を遂げる。シカゴ市警のスプーナー刑事(ウィル・スミス)は、博士の死をロボットの仕業と読むが、主任のロボット心理学者カルヴィン博士(ブリジット・モイナハン)は『ロボット3原則』を掲げ、人間に危害を加える可能性を全面否定する。そこへ、一体のNS−5が動き出した。それは、3原則をプログラムされていない特別なロボットだった・・・。

 SF小説家、アイザック・アシモフの「われはロボット」をモチーフにした近未来アクション。 

 ラニング博士の死の謎を軸に、トラウマを負った為にロボットを憎んでいる刑事スプーナーと、「3原則」に縛られることなく、自由意志を持つロボットであるサニーが、次第に距離を縮めていく姿を描く。

 状況説明が簡潔にされながら、ストーリーはテンポが良く進んでいく。近未来の交通網や、ロボットが人間社会に溶け込んでいる様子が、違和感なく描かれている。

 この作品で特筆すべきは、“サニー”のキャラクターである。サニーはロボットでありながら、他のNS-5とは一線を画していて、感情が生まれて表情にそれが表れる。時折見せる表情に愛嬌があり、中でも「哀」の表情は秀逸である。ふとした仕草なども、徐々に人間に近づいているようであり親近感を覚えた。

 テクノロジーに依存する社会に警鐘するという一面を持つこの作品は、エンターテイメントとしても出来の良い作品に仕上がっていた。二度目の観賞ながら充分に楽しむことができた。
 
ルーピーQ的評価・・・★★★・☆三つ星半です。


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2005年06月27日

■隠し剣 鬼の爪

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 幕末の東北。海坂藩の平侍、片桐宗蔵(永瀬正敏)は、母と妹の志乃、女中のきえ(松たか子)と、貧しくも笑顔の絶えない日々を送っていた。やがて母が亡くなり、志乃ときえは嫁入りしていった。ある日宗蔵は、きえが嫁ぎ先で酷い扱いを受けて寝込んでいることを知り、やつれ果てたきえを背負い連れ帰る。その頃、藩に大事件が起きた。かつて、宗蔵と同じ剣の師範に学んだ狭間弥市郎が、謀反を起こしたのだ。宗蔵は、山奥の牢から逃亡した弥市郎を切るように命じられる・・・。

 藤沢周平原作の「隠し剣 鬼の爪」と「雪明かり」を組み合わせてできた作品。 

 この作品は、一時代に名を残した人物ではなく、平侍である宗蔵を中心として、市井に住む人々の生活が描かれている。哀歓を帯びた彼らの日常が、何気ない会話や所作などによく現れていた。また、藩が戦略として大砲を導入し、藩士たちが近代化の波に翻弄される風景などはユーモラスで、ストーリーの良い緩和となっていた。

 物語は、宗蔵ときえの身分違いの恋、家老との確執や狭間弥市郎との因縁等、それらを巧みに絡ませながら、題名でもある秘剣「鬼の爪」へと収束していく。ただ「鬼の爪」に関しては、演出は良いものの設定が活かされておらず、どこか浮いてしまっているように感じた。

 幕末という混迷した時代に、愚直に己の信念を貫いて生きる主人公、宗蔵。平侍でありながら家老に楯突き、信念を曲げることがないその姿は、新時代の黎明に失われつつあった侍の姿であろう。淡々と流れるストーリーの中に紡がれるエピソードは、時代に翻弄される宗蔵の葛藤や信念が静かに伝わってくる。趣のある映像は、良質な時代劇のそれであった。

ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。


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