異変は、アメリカ東部の町に起こった。立ちこめる暗雲から稲妻がほとばしり、落雷地点が脈打つように震動する。直後、人々の眼に信じがたい光景が映った。地中深くから巨大な三本の足を持つ“物体”が姿を現し、人間を手当たり次第に抹殺し始めたのだ。一部始終を目撃した港湾労働者のレイ(トム・クルーズ)は、別れた妻から預かった息子ロビー(ジャスティン・チャットウィン)と、娘レイチェル(ダコタ・ファニング)を連れて町を脱出。安全な場所を探して車を走らせるが、“物体”は世界続地に同時多発的に出現していた・・・。
H.G.ウェルズの原作である、古典SF小説を映画化した作品。
この作品は、トム・クルーズのヒロイックな活躍を期待して観賞すると肩透かしを食う。今回のトムは、突如として多略に現れた地球外生物、すなわち異星人からなす術もなく逃げ惑う、ただの無力な人間の内の一人だからだ。
今作は、人間が災害に襲われた時の心理や状態がリアルに描かれている。「自分と家族だけが助かれば良い」といった誰もが持つかもしれない心理である。人間の力ではどうにもできないような事態に陥った時の、人々の醜さの描写が自身に置き換えてみると、よりリアリティを持って心に痛く映る。
とりわけて圧巻なのは、やはり映像だろう。物語の導入部、アスファルトに亀裂が走り、多略者が操る“トライポッド”の襲撃に晒されるシーンや、その後に訪れる異星人の探索から逃げ惑うシーンなど、作品には終始緊張感が漂い、観ていて飽きることはない。
ただ、親子の描き方に物足りなさが残る。父親としての復権や家族愛といったテーマを、もう少し作中に盛り込んでも良かったのではないかと思う。得体の知れない敵への恐怖は過不足なく描かれていて、パニック・ムービーとしては申し分のない出来であった。
ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。
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