
平成16年10月、日之出ビール社長・城山恭介(長塚京三)が誘拐された。“レディ・ジョーカー"と名乗る犯人グループのメンバーは、薬店を営む物井清三(渡哲也)、障害を持つ娘・さち(愛称レディ)を抱えるトラック運転手の布川淳一(大杉漣)、信用金庫に勤める在日の高克己(吹越満)、町工場の施盤工・松戸陽吉(加藤晴彦)、そして刑事の半田修平(吉川晃司)の、川崎競馬場で会った職業も年齢もバラバラの5人の男たち。ただ彼らに共通していることは、“社会の弱者"であることだった。56時間後、城山を解放した“レディ・ジョーカー"は、今度は会社への脅迫を開始する・・・。
高村薫の“グリコ・森永事件”にヒントを得て書かれた同名小説の映画化。
淡々と進んでいくストーリーの根底に流れているのは、それぞれの立場で置かれている“差別”であり、その“差別”がまかり通っている社会への“復讐”だろう。その背景は非常に複雑である。しかし、複雑な心情を持つ登場人物たちの心理描写に甘さが感じられる。主要人物が多いため、二時間の枠では人物一人一人の描写が中途半端になってしまっている。そのために、重厚なテーマが消化しきれていないように思う。
主要人物の中でとりわけ異彩を放っていたのが、刑事の半田を演じた吉川晃司だ。“レディー・ジョーカー”5人のメンバー中1番の存在感を示し、物語に緊張感を与えている。
クライム・ムービーというよりも、ヒューマン・ドラマとしての色が濃い作品。誰一人として明確に勝利したものはなく、それだけに観賞後もの哀しい印象が残る。
ルーピーQ的評価・・・★★☆☆☆二つ星です。
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