レイ・チャールズ・ロビンソン(ジェイミー・フォックス)は、弟の溺死によりトラウマを背負い、9ヵ月後、視力を失うが、母は幼い彼を決して甘やかさなかった。1948年、17才でシアトルに出たレイは、「盲目の天才」と評判になる。やがてレイは、ゴスペルとR&Bを融合させた新しい音楽、ソウルを誕生させた。一方、名声の裏では複数の愛人、そして麻薬に手を出し、その生活は荒んでいく。1965年、麻薬の密輸で逮捕されたレイは、自ら厚生施設へ入り、薬を断ち切る決意をする・・・。
第77回アカデミー賞主演男優賞、音響賞受賞作品。
2004年6月にこの世を去った、レイ・チャールズの伝記映画。「ソウルの神様」レイの、栄光の陰に隠されたエピソードを描いていく。
まず、ジェイミー・フォックスの演技が素晴しい。レイ自身から役を貰っただけのことはあり、まるでレイ・チャールズがそのまま乗り移ったかのような印象であった。フォックスを観るだけでも一見の価値はあるだろう。
フラッシュバックで挿入される、レイの原風景である少年時代。弟の溺死によって心に深い傷を負う一方で、失明の際に受けた母アレサからの教えが、後のレイを支える指針となる。この作品の重要な位置を占めている少年時代のエピソード、特にアレサがレイに与えた言葉が印象的だ。
失明というハンディを負いつつも成功を収めたレイだが、この作品はただの成功譚に止まらず、薬物と女性に溺れていく姿も同時に描かれている。偉人の人間としての弱さを見せることで、ただ美化するだけではない重厚な物語となっている。40タイトルもの音源により一つ一つのシーンが紡がれる為、約二時間半の大作であるにも関わらず長さを感じることはない。
波乱に満ちた生涯を送ったであろう、音楽界の巨星レイ・チャールズの人生を垣間見ることができる。伝記映画の意義を充分に感じた作品であった。
ルーピーQ的評価・・・★★★★☆四つ星です。
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