
1967年の香港で、ひとりの作家が2046年の未来を舞台にした近未来小説を執筆している。舞台の中の登場人物たちは、”2046”という未知の場所を目指し、ミステリートレインに乗り込んだ。そこには美しい女性の姿をしたアンドロイドの客室乗務員の姿があった。”2046”に行けば、失われた愛を見つける事が出来る―。登場人物たちはそう信じている。しかし、その真実は定かではなかった。誰一人として”2046”から帰ってきた者はいないのだ。明かすことの出来ない秘密と目的を抱えて乗客の中にいる、ただひとりの男を除いては・・・。
作家・チャン(トニー・レオン)の過去と現在、そして執筆している作品「2046」。この三つの世界が、クリスマス・イヴを基点に交錯して描かれる。
まず、2046年を舞台にしたSFだと思って映画に臨むと肩透かしを食うだろう。前述した通り、「2046」とは作家の過去と現在を投影した創造の産物である。その為に、作中の大半はストーリーを追いながら理解する事に費やされ、点と点が結ばれているような構成に混乱してしまう。チャンが自身を投影する日本人男性(木村拓哉)の存在、「2046」の近未来の設定や、ミステリートレインの描き方が中途半端で、必然性を感じることが出来なかった。
過去の恋愛に捕らわれながら刹那の恋愛に浸かる日々を送る屈折した男と、その前を通り過ぎて行く女たち。物語をチャンの回顧録として捉えればまた見方も変わる。SFの要素を抜きにしてシンプルに筋立てた方が、より楽しめたのではないだろうか。
ストーリーよりも映像の美しさと、それを盛り立てる音楽に強い印象を受ける。トニーレオン、コン・リー、フェイ・ウォン、チャン・ツィイー、マギー・チャンらアジアを代表するスターの共演作としては、物足りなさを感じた。
ルーピーQ的評価・・・★★・☆☆二つ星半です。
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