
マンハッタン、タイムズスクエア。自称一流のパブリシスト、スチュ(コリン・ファレル)は、今日もアシスタントを従え、携帯電話からクライアントや業界に口八丁でビジネスをまとめ上げている。そんな彼はアシスタントと別れた後、1台の電話ボックスに立ち寄り、女優のパメラに電話を掛けた。スチュは彼女をモノにしようとしていたが、上手くいかずに受話器を置く。その刹那、今使っていた公衆電話のベルが鳴り、思わず受話器を取ってしまう。すると電話の主は、“電話を切ったら殺す”と脅迫してきたのだった・・・。
始めから終わりまで、全てが電話ボックス内で繰り広げられる密室劇。犯人や警察との息詰まる攻防が、緊張感たっぷりに描かれるサスペンスである。
“電話ボックスから出てはいけない”という制約を設ける事により、緊迫感を生み出す事に成功している。まさにアイデアの勝利と言っていいだろう。無駄のない脚本で、80分間を一気に見せている。 主役のコリン・ファレルも、電話ボックスという限られた空間内で、切迫した空気を保ちつつ、傲慢であった男が改悛していく姿を上手く演じていた。
惜しむべきは、肝心要の犯人の動機が希薄であった為に、物語が急速に萎んでしまったことだ。この点を捻ることができたなら、もっと作品の完成度は高まったのではないかと思う。
ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。