
若き富豪ハワード・ヒューズ(レオナルド・ディカプリオ)の夢は、世界的映画監督と航空家。1930年、莫大な予算をつぎ込んだ映画『地獄の天使』を成功させたハワードは、航空会社を買収し、ライバル社パンナムとの探りあいの中、軍飛行艇ハーキュリーズの開発に乗り出す。1946年、テスト飛行中に墜落したハワードは、瀕死の重傷を負ってしまう。空軍からは、戦争の終結を理由にハーキュリーズの契約を取り消されたうえ、軍用資金横領の疑いで公聴会に出席することになるが・・・。第77回アカデミー賞、5部門受賞作品。
アメリカに実在した、大富豪ハワード・ヒューズの波乱に満ちた人生を描いた作品。映画と飛行機に並々ならぬ情熱を注ぎ込む一方で、キャサリン・ヘップバーン(ケイト・ブランシェット)や、エヴァ・ガードナー(ケイト・ベッキンセール)ら大女優と繰り広げる恋愛模様と、やがて強迫神経症に侵されていく姿を辿っていく。
ヒューズの映画創りや飛行機造りに対するあまりに徹底した完璧主義ぶりは、観ていて感嘆すると同時に驚愕ものである。彼の偉業は、大富豪の道楽で始めたものならば達成出来なかっただろう。才気にあふれたヒューズの大胆で繊細な人物像を、レオナルド・ディカプリオは上手く演じている。また、ケイト・ブランシェットもレオに勝る存在感で、奔放で魅力的な女性を演じていた。
あくなき追求心で次々と偉業を成し遂げるが、女性に対する姿勢までもがその性格を発揮する。極端すぎるその行動は、深い孤独に起因したものなのかもしれない。潔癖症であるヒューズが、ヘップバーンが口にしたミルクを自分も口にするシーンが印象的だ。
終盤の核でもある公聴会で、上院議員を相手に演説し、論破したシーンはまさに爽快だった。日本ではあまり馴染みのない偉人、ハワード・ヒューズという人物を知らしめる事ができた、大作と呼ぶに相応しい作品だったと思う。
ルーピーQ的評価・・・★★★・☆三つ星半です。