
1846年、ニューヨークのファイブ・ポインツでは、アメリカ生まれの住人たちの組織“ネイティブズ”とアイルランド移民たちの組織“デッド・ラビッツ”が対立している。幼少のアムステルダムは、神父でデッド・ラビッツのボスである父親を敵のボス、ビリーに殺された。アムステルダムは投獄され、復讐を誓いながら16年の歳月が過ぎる。アムステルダムが帰ってきたファイブ・ポインツは、ネイティブズに仕切られ腐敗していた。デッド・ラビッツは既に壊滅している。それでもアムステルダムは復讐のため素性を隠しビリーの組織に潜り込んだ。やがてジェニーという女に出会い、次第に惹かれていくのだが・・・。
19世紀、アメリカの混沌とした時代を描いた壮大な叙事詩である。予備知識がなく観賞してもさほど違和感なく入り込めるが、歴史背景を思慮した上での観賞の方が、より映画への理解が深まるだろう。
ストーリーは、移民VSネイティブの戦いに始まり、復讐、恋愛、徴兵制度による暴動等を絡めながら、激動の時代を生きた人々を描いていく。中でも、ダニエル・デイ=ルイスが素晴しく、圧倒的な存在感でネイティブズのボスであるビリーを演じている。揺るぎない信念を持ち行動するビリーは単なる悪役に終わっておらず、主役であるアムステルダムを演じた、レオナルド・ディカプリオを食った感がある。
時代の勢いがそのまま画面を通して伝わってくる作品。しかし、恋愛部分は不要なエピソードに思え、中盤で中弛みの印象を与えるのが残念だ。
支配と差別、血を血で洗い流すが如き行為が繰り返される時代、ニューヨーク黎明期を生きた男達の生き様、無常感を描いた秀作であった。
ルーピーQ的評価・・・★★★☆☆三つ星です。
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